2025年12月10日
最近では金(ゴールド)の値上がり幅が大きく、
テレビやネットのニュースでも頻繁に取り上げられています。
では、こうした金の価格上昇を受けて、金投資は本当に有効なのでしょうか?
FPの視点から、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。

金は世界中どこでも価値が認められているため、
極端に価格が下がりにくい、なくなりにくい資産 として扱われてきました。
特に、インフレ(物の値段が上がり、お金の価値が下がること)が進む時期には
「お金より金のほうが安心」と考える人が増えます。
金の特徴を語るうえで欠かせないのが、投資の世界で最も信頼される研究者の一人、
ジェレミー・シーゲル氏のデータです。
シーゲル氏は、世界の投資研究の定番書
『株式投資の未来(原題 Stocks for the Long Run)』
の中で、過去200年間を見ると、金の価値はほとんど変わっていないと分析しています。
これは驚くようでいて、金の本質を表す大事なポイントです。
・金は「増える資産」ではなく
・金は「価値を守る資産」
だということです。
インフレが起きても価値を保ちやすい=“資産の保険”の役割 と言えます。
金には、株や債券のように
・配当(利益の分配)
・利息
といった“増える仕組み”がありません。
つまり、金は持っているだけではお金を生みません。
価格が上がる時期はありますが、長い期間で見れば大きく増えるわけではない、
というのがシーゲル氏の研究結果です。
◎金が向いている人
・物価上昇(インフレ)が心配
・世界情勢が不安定な時の守りを強くしたい
・資産の一部を“安心枠”として持ちたい
・株価が急落する時の備えがほしい
金は「守り」の力が強く、ポートフォリオ(資産全体)の安定に役立ちます。
✕金が向かない人
・資産を積極的に増やしたい
・配当や利息を重視したい
・長期の成長力を期待したい
こうした目的の場合は、株式などの成長資産の方が適しています。
金は「買うべきか、買わないべきか」というより、
“どのくらい持つか”が大切です。
●目安は“全体の5〜10%程度”
金は資産の“保険”のような役割なので、全体のごく一部に取り入れるのが現実的です。
●無理にタイミングを狙わない
金価格は上下するため、「今が買い時か?」と考えすぎる必要はありません。
長い目で少しずつ積み立てる方法も有効です。
金の評価で彼の研究がよく引用される理由は、シーゲル氏が世界屈指の投資研究者だからです。
・ペンシルベニア大学ウォートン校教授
・投資研究の権威
・世界中の金融機関・機関投資家がシーゲル氏の
データを参考にしている
・著書『Stocks for the Long Run(株式投資の未来)』
は“長期投資のバイブル”と呼ばれている
彼の研究は、学術的な裏付けがあり、世界中で信頼されています。
近年、金の価格上昇が話題になっていますが、シーゲル氏の研究を踏まえると、
金は「増やす資産」ではなく「資産を守るための資産」という位置づけが最も正確です。
言い換えれば、大切なお金をインフレや不安定な経済から守る“防御力の高い資産”。
株式などの成長資産と組み合わせることで、将来の不安に強いポートフォリオが作れます。
参考図書
ジェレミー・J・シーゲル
『株式投資の未来(原題:Stocks for the Long Run)』
日経BP(日本語版・最新版)